| 学校の体育館裏・・・
ブロックにのせられた巨大な煉瓦を前に、B・エリカは静かに構える。長い黒髪を上にまとめ、入り切らない足と腕の部分を破いてある空手着を身にまとい、静かに息を整える。 「ふんっ!」 静かな気合い一閃、B・エリカの右の拳が容易く煉瓦を砕く。 「・・なぁんかなぁ・・」 B・エリカは物足りないのか、割れた煉瓦の大きな二つの塊を積みはじめる。 「あ〜!コラ〜!」 突然かけられたおっさんの声にエリカの動きが止まる。用務員のおじさんだ。 「あ〜あ〜あ〜割ってしまいよってからに!こりゃ図工の実習に使うもんじゃぞ〜」 「え・・・!?」焦るB・エリカ。 「ど〜するんじゃ?これ!」 「だ、だって外に置いてあって・・・」 「重いんで一旦置いてあっただけじゃ!まったく・・相変わらずそそっかしいのう〜。高いぞこりゃあ〜」 「うえ・・!?」 おじさんのみえみえのおどかしに体格に似合わぬうろたえた声を出すB・エリカ。思わず泣き出しそうな顔になる。 「・・まあええ。わしが過って割ってしまったことにするから!片付け手伝っていけ!」 おじさんは割れた小さいかけらを拾いながら、セリフよりは優しい口調で言う。 「す、すみません・・ごめんなさい・・」 気弱に謝りながら、大きな二つに重ねた煉瓦の破片を軽々と抱え上げるB・エリカ。 「壊していいのはちゃんとわけてあるじゃろうが。ちゃんとわしに確認せんからこういうことに・・」 「はい・・ごめんなさい・・」 形だけ怒りながらすたすた行く小柄なおじさんのあとから、大きな煉瓦の破片を抱えたB・エリカがとぼとぼとついていく・・・
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なんと言ってもB・エリカはまだ小学生。ちょっとした大人のいじりにも弱いのでは?と、このお話。 実際は用務員のおじさんとは大の仲良し。壊していいものを分別して、もらったりしている。分け隔てなく叱ってくれる用務員のおじさんをB・エリカも慕っているみたい。 ああ・・・どんどんB・エリカが『良い子』になっていく・・・(^_^; |
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